2018/09/14 12:17

「界面活性剤がシャンプーに入っている理由とは?」

 

界面活性剤の働き

 

界面活性剤は「水」と「油」のように、本来は混ざり合わない物を混ぜ合わせるために使うものです。例えば、ドレッシングは酢と油分で作られていますが、使用前は2層に分かれていて、使用する時に良く振って混ぜ合わせます。でも、一時的に混ざり合いますが、時間が経つとまた元の2層に戻ってしまいます。このドレッシングに卵黄を混ぜるとマヨネーズのようなものができます。時間がたっても成分が分かれることはありません。この卵黄に含まれているのが「レシチン」という成分で、界面活性剤の役割をするのです。

 

界面とは

ウイスキーや焼酎などのアルコールに、水を入れるときは混ざりますが、油を入れると交じり合わず、油が上、アルコールが下と上下に分かれます。

この2つの物質の境目を「界面」と言います。「アルコール」と「油」、「液体」と「液体」
「気体」と「気体」、「気体」と「固体」、「液体」と「固体」などの境目も同様に界面と言います。但し、「気体」と「固体」や「気体」と「液体」の場合は、その境目を一般的には表面と言うことが多いです。

この界面に働きかけて、「界面張力」(界面をできるだけ縮めようとする力、水の表面張力も界面張力の一種です。)を低下させる物質を「界面活性物質(界面活性剤)」と言います。界面張力が弱まると、「同じものでまとまろう」とする力がゆるみ、まわりのものとなじみやすくなります。この作用によって、「水」と「油」のように、本来は混ざり合わない物を混ぜ合わせることができるのです。化粧品やシャンプーなどは、多種類の原料をなじませる必要があるためこの作用を利用しています。

 

 

シャンプーと界面活性剤

 

シャンプーの場合、通常、最も多く含まれているのが水ですが、その次がほとんどの場合、界面活性剤です。
界面活性剤は、2つの物質の境界面に働きかけ、その性質を変えていく働きがありますが、シャンプーなどでは主に洗浄作用として、また泡立ちを良くする成分としての役割があります。シャンプーを泡立たせることによって泡の中に汚れや油脂を吸着させて洗い流すことが出来るようになっています。また、洗浄作用のほか、浸透作用、吸着・膨潤作用、分散・乳化作用などの働きをします。

汗やホコリ汚れは水でも洗い流すことができますが、皮脂や整髪料などは界面活性剤でないとなかなか落とせません。界面活性剤は、水では落とせない汚れを包みこんで髪や頭皮からはがしやすくし、再び髪に付かないようにしてくれます。

このようにシャンプーには界面活性剤が必要とされます。

 

ここで気をつけたいのは、界面活性剤の種類です。界面活性剤にも様々な種類があり、選ぶ物によっては、髪や頭皮に悪影響を与える物も少なからずあるのです。

そして、この「界面活性剤の種類」が、つまり「シャンプーの種類」を分けるということでもあります。界面活性剤の種類別にシャンプーを分類すると、大きく分けて次のように分けられます。

 

●高級アルコール系シャンプー
動物性や植物性の油脂からつくられた界面活性剤を使用。安価で大量生産できる。

●石油系シャンプー
石油系界面活性剤を使用しているもの。最近では製造されなくなったようです

●石けん系シャンプー
アルカリ性の石けんを界面活性剤として使用しているもの

●アミノ酸系シャンプー
界面活性剤にアミノ酸系の成分が使用されているもの

 

このうち、高級アルコール系シャンプーに使用されている動物性や植物性油脂からつくられる界面活性剤が、いわゆる硫酸系の成分です。代表的なのが、ラウレス硫酸Na・ラウリル硫酸Naです。

これらは、ヤシ油などに含まれるラウリン酸を原料にして作られた界面活性剤で、生成過程で硫酸が使われます。

硫酸は非常に強い酸なので、皮膚や髪(タンパク質)を変性させてしまいます。また、洗浄力も強いため、頭皮の皮脂を過剰に除去してしまいます。

強力で皮脂を落としすぎることから、もともと持っている皮膚のバリア機能を低下させ、薄毛や抜け毛、アトピーなどの悪化や、フケなどの肌荒れを引き起こすなどとされています。

 

石油系シャンプーに含まれる石油系界面活性剤は言うまでもありません。絶対に避けるべきです。頭皮から体内へと非常に入り込みやすく、体内に残留し年月をかけて蓄積されます。一度体内へ入り込むと体外に排出されることはありません。毎日使い続けることによって、皮下組織や乳房、子宮などの脂肪に蓄積されるため、女性の間では、乳ガン、子宮ガン、子宮筋腫や子宮内膜症を引き起こす原因になっていると考えられています。

またこの成分は現代の皮膚障害の最大の原因とも言われていて、皮膚のタンパク質を破壊する働きを持っています。皮膚障害、アトピー、手荒れ等も、多量の石油系合成界面活性剤による、タンパク変性作用が原因により引き起こされているといわれています。すぐには外的症状が現れにくいため、使用期間が長くなります。頭皮の毛穴や、肌から浸透する体内への蓄積量は増え、様々な症状が現れてきます

 

 

石けん系界面活性剤は、人体への影響が少なく安全と言われています。皮膚に対して刺激が少ない、また合成界面活性剤に疑われている発がん性などの心配もないため、ナチュラル思考の人に選ばれています。デメリットは使用感(きしみ)が悪く、ヘアカラー、パーマの持ちが悪くなるなど、美容の点で問題があります。

 

アミノ酸系シャンプーというのは、界面活性剤についてだけ見ると天然系と分類されます。やはり合成界面活性剤を避けたい人に人気があり、さらに頭皮に潤いを与え、洗浄成分がゆるやかで刺激が少ないというメリットがあります。

アミノ酸系シャンプーを選ぶ時に注意して頂きたいのが、「それは本当にアミノ酸系の界面活性剤のみを使ったシャンプーなのか?」という点です。

ボトルや広告に「アミノ酸シャンプー」「アミノ酸配合」と書かれていても、確かにアミノ酸が入っている、しかし合成界面活性剤が一緒に入っている場合が多いのが実情です。

アミノ酸系シャンプーは高価なのも弱点です。



シャンプーを選ぶとき、何に重点を置いているでしょうか。 触り心地、香り、泡立ち、知名度、口コミなどという人も多いと思いますが これらはよいシャンプー選びの基準にはなりません。シャンプーを選ぶとき、最も重要なのは成分です。 中でもシャンプーの良し悪しを決めるのが界面活性剤です。 界面活性剤は、洗浄剤であり、どんな成分を使っているかによって、 そのシャンプーの性質がわかるのです。