2018/09/30 10:31

「界面活性剤は、化粧水にまで入っている!」

 

 

界面活性剤と聞くと、洗濯の洗剤や食器洗いに入っている… お肌に良くない…

などのイメージがあるのではないでしょうか

私たちの身の回りのありとあらゆるものに使われています。食品、洗剤、歯磨き粉、石鹸、シャンプー、コンディショナー・・・・・

界面活性剤は私たちの生活に必要不可欠なものなのです。

そして多くの化粧品には界面活性剤が使われています。

 

 

化粧水の目的とは?

 

洗顔後にそのままにしておくと、水の蒸発とともにお肌の水分はどんどん失われてしまいます。洗顔後は、お肌の水分を保つ角質層に存在する細胞間脂質(セラミドなど)やNMF(天然保湿成分)や皮脂が洗い流されてしまいます。

お肌本来の水分保持力が低下している間に乾燥からお肌を守るために、化粧水が必要なのです。化粧水には、肌に水分を補い、肌の調子を整えて、やわらかくする働きがあります。この後に使う乳液やクリームを、より一層肌にムラなくいきわたらせるための役割や、肌の油分バランスを整えたりもしてくれるのです。

また化粧水には、お肌に清涼感を与えて、みずみずしく整える作用もあります。皮脂の過剰な分泌を抑えてお肌を引き締めたり、お肌のpHを弱酸性に保ったりしてお肌の調子を整えます。特にオイリー肌の人にとっては、洗顔後そのままにしておくと、乾燥を防ごうと、過剰な皮脂の分泌が起こってしまうこともあります。そうならないためにも化粧水で皮脂の過剰分泌を抑えることが大切になってきます。

 

化粧水に入っている界面活性剤を気にするのであれば、水を吹き付けて乾燥を防げばいいと思いますが、水そのものを肌に吹きかけても、表面はぬれますが、水は肌の内部には浸透しません。たとえば一日中プールに入っても、水が皮膚から体の内部に浸透することはありません。その理由は、体には防御作用があるからです。そして皮膚には油分が含まれているので、水だけでは内部に浸透しにくくなっているからです。

 

でも化粧水だけで保湿をしようとしても無理です。化粧水の主成分の水には、保湿成分はあまり配合できないからです。あくまでも化粧水は洗顔によって失われた角質の水分を補うことが目的です。

 

なぜ化粧品に界面活性剤が使われているのか

 

一番は、お肌になじみやすく浸透して使用感がよくなるからです。

界面活性剤の働きは、本来はなじまないもの同士をなじませることができる物質です。

化粧品作りでは多種類の原料をなじませてお肌への効果をあげたり、使用感を良くしたりしています。この作用は化粧品作りにはとても便利なのです。

界面活性剤の働きを細かく見てみます。

【洗浄】
界面活性作用により汚れを取り去り、身体の清潔を保ちます。洗顔料やシャンプーなどがこの働きです。

【起泡】
汚れを包みこむ。製品を泡状にすることで使用感や仕上がりを高めます。洗顔料、ヘアムースなどがこの働きです。

【乳化】
油溶性の液体と水溶性の液体をムラなく混ぜあわせます。使用感の向上し角質層に浸透しやすくなります。乳液やクリームなどがこの働きです。

【分散】
顔料や紫外線反射剤などの粒子を製品中にムラなく均一に散らばらせて機能性を上げます。ファンデーションや日焼け止めなどがこの働きです。

【可溶化】
油溶性の成分を水溶性の液体に透明に混ぜこみます。使用感の向上し角質層に浸透しやすくなります。油溶性ビタミン入りの化粧水などがこの働きです。

【帯電防止】
身体や髪、衣類に陽イオン性界面活性剤を付着させて静電気を空気中に逃がします。ヘアリンスや静電気防止スプレーなどがこの働きです。

【殺菌】
陽イオン性界面活性剤を細菌のタンパク質に吸着させて細菌を壊します。逆性石鹸などがこの働きです

 

 

 

界面活性剤入りの製品があまりのも多いので、驚いたり不安になったのではないでしょうか。私たちの生活では界面活性剤を切り離すことはできなくなっています。

ただ、その界面活性剤がどのような成分でできているのかを見極めて、できる限り天然由来の界面活性剤を使用しているものを選んでください。また、石油系合成界面活性剤が入っている商品を使う場合も成分表はチェックしてください。(全成分の見方は、下(後に)に書いてあればあるほど、配合量は微量になります)

石油系合成界面活性剤は、化粧品や洗顔料、家庭用洗剤等にはなくてはならないものだと思います。ですので、合成界面活性剤が配合されているものを使うことを前提に、いかに上手に、そして配合量の少ないものを使用していくよう心がけてください。

 

 

界面活性剤は危険だという情報が浸透していますが、化粧品造りには、界面活性剤の使用は不可欠です。界面活性剤がなければ、洗浄効果を与えることができませんし、乳液やクリームなどをつくることができません。また、保湿成分など美容成分を化粧品ベースに溶かし込むことも難しくなってきます。


「界面活性剤=悪」と決めつけてしまうと、本当に良い化粧品とも巡り合えなくなってしまいます。やみくもに界面活性剤を敬遠するのではなく、界面活性剤について正しく理解していただくことも必要ではないかと思います。